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世界のワイン業界ニュース

  • 執筆者の写真: peko
    peko
  • 2025年5月18日
  • 読了時間: 12分

更新日:2025年11月24日




★2010年以降に生産されたヨーロッパのワインでトリフルオロ酢酸の汚染が急増していることが分析で判明した。


★トリフルオロ酢酸はPfasの分解産物。TFAも自然のプロセスでは分解されない。


※ PFAS(ピーファス)・・工業的に作られる有機フッ素化合物の総称で、約5000種類ある。体内で蓄積されるフォーエバーケミカル

参考シネマ: ダーク・ウォーターズ(2021米)

炊飯器、フライパン、ホットプレートなどのテフロン加工や撥水加工の衣服や消化器などなど。



1988年以前に生産されたワインからはTFAは検出されなかったが、2010年以降に生産されたワインからは汚染が急上昇した。オーガニックワインと従来のワインでは、オーガニックの方が低い傾向。


TFAの濃度が平均して最も高かったワインは、残留農薬の量が最も多かったワインでもあった。欧州委員会とEU加盟国にPfas農薬の禁止を求めている。


研究者たちは、1974年以前のオーストリアのセラーワイン10種類(TFAの前駆体化学物質が広く使用されるようになったと思われる政策変更以前)と、オーストリアのスーパーマーケットで購入された2021年から2024年のヴィンテージのワイン16種類を使用した。

最初の分析で予想外に高いレベルのTFA汚染が判明したため、彼らはヨーロッパ中のパートナーに自国のサンプルの提供を依頼した。

その結果、ヨーロッパ10カ国の古いワインからはTFAは検出されず、1988年から2010年にかけては1リットルあたり13マイクログラムから21マイクログラムへと「緩やかに上昇」し、その後「急上昇」し、最新のワインでは1リットルあたり平均121マイクログラムに達した。


当局はこれまで、TFA汚染による健康への潜在的影響については問題にしてこなかったが、哺乳類を対象とした最近の研究では、生殖健康へのリスクが示唆されている。昨年、ドイツの化学規制当局はTFAを欧州レベルで生殖毒性に分類することを提案した。


TFAの主な発生源は、世界的に拡散しているFガスと呼ばれるフッ素系冷媒と、農業土壌に濃縮されているPfas系農薬と考えられている。Fガスの濃度は、1987年のモントリオール議定書でクロロフルオロカーボンなどのオゾン層破壊物質が禁止された後に上昇し、Pfas農薬は1990年代にヨーロッパで広まったと考えられている。


ドイツ南部のフィールドデータを用いた11月の研究では、農地と他の土地利用を比較した場合、TFAの地下水濃度が「有意に上昇」していることが明らかになった。TFA生成率に関するデータがほとんどない状況。


今、これらの農薬の使用を完全に止めたとしても、水資源やその他の場所でのTFA濃度は今後数年間でさらに上昇すると予想しなければならない。




★シャンパーニュでは除草剤の使用を控えるよう繰り返し約束されているが、そのメッセージは伝わっていない模様。


2024年とは違い、2025年シーズンは穏やかで容易なスタートを切った。しかし、最近晴天が続いているにもかかわらず、シャンパーニュ地方の多くの生産者が、再び過剰な除草剤使用に手を染めている。


シャンパーニュ地方で主に使用されている除草剤はグリホサートで、その使用はフランスの法律で厳しく制限されている。2020年10月以降、フランスの食品・環境・労働安全衛生庁(ANSES)は、フランスのブドウ畑におけるグリホサートの使用量を(環境と健康上の理由から)厳しく制限しており、1ヘクタールあたりの使用量は推奨量のおよそ5分の1に制限されている。

つまり、除草剤はブドウ畑の表面の5分の1にしか散布できず、空散布は事実上禁止されている。シャンパーニュ委員会(CIVC)の技術チームによると、このルールの唯一の例外は、ブドウ畑を機械的に作業することができない場合で、シャンパーニュ地方のブドウ畑の6パーセントにしか適用されない。さらに、水路や住宅から5メートル以内では除草剤を使用できない。


2023年、欧州連合(EU)はグリホサートの認可をさらに10年間更新したが、衛生庁はその制限を改正しなかった。


現場の現状

とはいえ、シャンプノワ(シャンパーニュにおけるスティルワイン)は、衛生庁が定めた法的制限を無視することを選んだようだ。シャンパーニュ委員会の品質・持続可能性ディレクターであるセバスチャン・デビュイソンは、密植されたシャンパーニュのブドウ畑で法的拘束力のあるグリホサート制限を遵守することは不可能に近いと述べた。

うまく調整された散布装置を使っても、ブドウの木の幹の両側10~12センチだけに除草剤を散布するのは、至難の業。 事実、デビュイソンは、シャンパーニュ地方の除草剤使用量は2022年以降、年々増加していることを認めている。


しかし、シャンパーニュ地方では衛生庁の規制は適用されないという建前により、一部のブドウ栽培者はますます図々しくなり、その生態系への取り組みはここ数年で低下している。例えば、有機栽培農家からは、隣人の過失によって隣接する畝が汚染され、水路やハウスと接するブドウ畑までもが過剰なグリホサート処理を受けたという苦情が何件も寄せられている。


また、2024年の収穫量が少なかったため、アペラシオンの上限よりも多くのブドウを生産する必要があり、特に個々のリザーブも補充する必要があった。つまり、アペラシオン以外のブドウが、タンクレベルで選別する必要のある規格外のワインと入れ替わることで、アペラシオンのワインになるということが起きた。


アペラシオンに重大な害をもたらすとしても利益を最大化したいというのは、市場投入までの期間が長い製品に対する非常に短期的なビジョンであり、シャンパーニュの需要減少につながっている。過去2年間で、販売量は3億2600万本から2億7100万本へと17%も激減した。


不透明な経済情勢と地政学的情勢に米国の関税が重なり、短期的な大幅増収は望めない。したがって、2025年の収量が9500kg/haを超える可能性は極めて低い。このことは、グリホサートの空白散布による広範な法律違反を、特に除草剤不使用のはずのシャンパーニュの年に、さらに不可解なものにしている。




★デンマークやヨークシャー(イギリス北部の地方)の一部を含む北ヨーロッパは、気温上昇を抑えるために何もしなければ、わずか75年後にはワイン造りの中心地になる可能性があることが、新しい報告書で明らかになった。


南ヨーロッパの産地は、開花から2024年の収穫まで3℃の気温上昇に直面し、極端な干ばつに見舞われ、降水量は50mm減少する。

伝統的なブドウ畑への脅威は、ワイン造りをより北の地域へと押しやる可能性がある。報告書は、「より長い生育期と穏やかな条件で地歩を固める」国としてデンマークを挙げている。


デンマークはすでにワインを生産している。2000年以降、デンマークは正式にワイン生産地として認められているが、ワイン産業はまだ比較的小規模だ。北緯54度から58度に位置するデンマークは、ヨーロッパ最北のブドウ産地とされている。


タイムズ紙によれば、ブドウが育つイングランドの最北端はヨークシャーで、ハル市のすぐ北がその限界になると予測されている。


かつては南ヨーロッパだけのものであり、ボルドーを代表するブドウであったカベルネ・ソーヴィニヨンも、2100年までには中央部や北部の地域で繁栄する可能性がある。


カベルネ・ソーヴィニヨンは、英国ではすでに栽培されている。




★伝統的なワイン市場が低迷し、縮小していく中、これまで見過ごされてきたワイン市場に目を向けるべき時が来たのかもしれない。


EUの最新の推計によれば、フランスでは、消費量は前年比15%減、過去60年間では70%減という驚異的な落ち込みを見せている。また、シリコンバレー銀行ワイン部門の「ワイン産業の現状2025」報告書によると、米国のワイナリーは2024年に平均で3.4%の減収、管理費は5.5%増、支払利息は12%増となった。


新しい成長市場と衰退市場をきれいに入れ替えることは夢物語だが、ワインにまつわる伝統がヨーロッパでは数千年、アメリカ大陸では数世紀にわたって発展してきたという事実を考えれば、不可能なこと。ワイン商、輸入業者、小売業者、レストラン経営者との関係を築くには、何十年とは言わないまでも、何年もかかることが多い。しかし、ワイン産業はどこかで始めなければならない。


成長するアフリカ

ボルドーは長い間、フランス語圏のアフリカで存在感を示してきており、ここ10年の間に、コートジボワールとカメルーンの上流階級と中流階級のワインへの関心が高まり市場はかなり進歩した。


アフリカの人口は急増している。2050年までに現在14億いるアフリカの人口は25億人近くに達すると国連は予測している。そして、その人口の大部分は中流階級である。


国際通貨基金(IMF)によれば、今年と2026年の世界経済は3.3%の成長が見込まれている。しかし、アフリカ開発銀行によれば、アフリカ全体では年間4.3%の経済成長が見込まれ、2番目に急成長する地域となる。


チャンスに満ちている

アフリカには54カ国があり、万能の解決策があるわけではない。不安定な国、戦争や紛争のある国はたくさんあるが、経済が好調で安定した状況にある国も数多くある。


ワインメーカー、そして高級品の生産者すべてが、アフリカでの足跡を増やすことに注力すべき主な理由は3つあると主張する。

①ヨーロッパ、アメリカ、アジアの規模が縮小する中、アフリカは成長していること

②アフリカ大陸には重要なワイン生産国が1つしかなく、南アフリカではアフリカの渇きを癒すのに十分な量のワインを生産していないこと

③現地のニーズや要望を理解することに十分注力している生産者がほとんどいないこと


現在、世界のワイン輸出のうちアフリカ向けはわずか1.5%程度。


現状とこれから

ポルトガルの旧植民地であるモザンビークやアンゴラ、西アフリカのフランス語圏、そしてタンザニア、ケニア、ウガンダといった国々では、ワインについて知りたがっている中流階級が増えつつある。

これらの国の多くでは、ワインは階級に等しく、スピリッツよりも高級で、エレガントで、健康志向であると考えられている。これらの市場の多く、特にナイロビとケニアでは、この10年でインフラがかなり整備された。

しっかりとしたインフラ、現地にあるインポーター、ワインを冷却するセンターが存在し、ワインを提供する高級娯楽施設やホテルがますます普及している。市場はまだ黎明期にあるが、ある種の嗜好が生まれつつある。


暑いケニアでは、軽くてフルーティーなワイン、特にロゼが人気。ラゴスでは、モエ・エ・シャンドンの巨大市場がある。ナイジェリアはモエにとって最大の市場。アンゴラではシャンパンが大きく、プロセッコも祝祭文化の強いアフリカで人気を集めている。


国連の予測が正しければ、2050年までに4人に1人がアフリカ人となる。




「人類初、宇宙で酒造りに挑戦します」

ー昨年12月に壮大なプロジェクトを発表した、「獺祭」で知られる山口県の酒蔵・旭酒造。将来的には月で獺祭を造ることを目指し、そのための1歩として、2025年中に醸造装置を飛ばし、ISS(国際宇宙ステーション)で酒造りの実験を行う宇宙プロジェクトを進めている。今年2月には伊勢丹新宿店で、その宇宙で造られた人類初の清酒(100ml)の購入権が1.1億円で販売され、すでに買い手が付いている。売り上げは、全額が宇宙開発に寄付される。


「月に酒蔵を作る」夢への第一歩

宇宙プロジェクトが立ち上がったのは約3年前。名古屋の部品メーカー高砂電気工業と三菱重工から「宇宙で何かやらないか」と持ちかけられたことに端を発する。桜井氏の返事は「まずはやってみましょうか」。その後のキャッチボールのなかで浮かび上がってきたのが、「月に酒蔵を作る」という夢だった。すでに月への移住計画は各国が取り組んでおり、2040~50年代には数千人単位で月に人が住み始める可能性がある。人が住むなら人生の楽しみとしてお酒は必要だ。「月での獺祭造りを目指し、その可能性を検証するのが酒蔵として最善」と考えたのだ。


予算2億円の宇宙プロジェクト

月での酒造りへの第一歩として、まずは月の環境で清酒が醸造可能なのか確認する必要がある。そこでISSの有償利用制度を利用し、宇宙で醸造試験をすることにした。過去には本制度を利用して、焼酎酵母が宇宙を旅した事例はあるが、実際に宇宙空間でお酒を発酵させた成功例はない。


ISS専用の醸造装置は、各社の協力を得て開発。装置は山田錦、麹、酵母をセットした状態で打ち上げられ、宇宙飛行士が水を投入するだけで発酵が始まる仕組み。装置内では月と同じ1/6Gを造り出し、発酵が始まれば、装置付属の小型コンピュータから地球に遠隔で情報を飛ばし、地上で発酵条件を確認する。アルコールの生成は、発生した二酸化炭素量から判断する。打ち上げにかかるコストは、当初の予算からかさんで予想約2億円弱だという。

醸造装置を搭載したロケットは、2025年内に打ち上げ予定。打ち上げられる予定のグラス2杯分のうち1杯分はすでに予約売却済み、残りは分析に回し、今後月で酒造りをするための糧となる。


獺祭の躍進

2023年9月には米国ニューヨーク州に酒蔵「DASSAI BLUE Sake Brewery」を建設し、2024年11月には仏三つ星シェフのヤニック・アレノ氏と共同でパリに「ル・イザカヤ・ダッサイ」をオープンするなど、獺祭の勢いには驚かされるばかりだ。海外イベントのスポンサーにも積極的で、先日も、米アカデミー賞パーティーで「獺祭BLUE Type23」が提供され、初の日本酒提供の快挙として話題になった。

さらに食のアカデミー賞といわれる「ベストレストラン50」世界版・アジア版においては2021年から日本唯一の公式スポンサーを務めている。世界中のトップ・シェフやフーディー、インフルエンサー等が集うセレモニーでは、鏡開きのパフォーマンスでパーティーに華を添えてきた。


社長、桜井氏はどんな人?

「まずやってみる」精神の持ち主。この姿勢こそが、旭酒造がこの30年で急成長してきた核にある。

「遊びなら本気で」 2025年3月にソウルで開かれた「アジアのベストレストラン50」オフィシャルパーティーの2日前には、韓国のシェフ向けのイベントで獺祭を振舞った。しかも「磨き その先へ(税込41800円)」「未来へ 農家と共に(税込18700円)」といった1本数万円もする日本酒までぽんぽん開けた。

「ペアリングは、ある意味遊びみたいな部分もある。遊びなら本気でやったほうが楽しいので、一番いい酒を出しました」と桜井氏。

桜井氏といえば、2006年に入社後、海外での営業を担当し、社長自らテーブルをまわり名刺交換し言葉を交わす草の根活動をしていた。


日本酒は日本食だけじゃない

24年度には売上高が過去最高となる195億円を達成、約半分が海外の売上を占める同社。アメリカ、中国、シンガポールなどを中心に輸出先は40カ国以上に増加し、今では日本酒全体の輸出の2割を占める。


さらなるブランド力強化のため、2025年6月1日より旭酒造株式会社から「株式会社獺祭」へと社名変更する。磨き率の「23」や「39」という数字でランク分けされたラインナップは、海外にも受け入れられやすいだろう。


失敗を恐れぬ挑戦で破竹の成長を続け、酒好きなら誰もが読み方を知っている現在、社員は約300人(うち製造メンバが210名)、年間生産本数は約850~900万本(750ml換算)にまで成長した。2028年にはプレミアム日本酒のみを醸す第三蔵も完成する予定だ。

「小さな」酒蔵から、世界、そして宇宙へ——。獺祭の進化は止まらない。

 
 
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